【 Card】Apple が、新しいクレジットカード体験をユーザーへ提供する「 Card」を発表。
- 2019/03/30
プロダクトからサービスへシフトさせることを先鋭化させた「Apple Special Event, March 2019」。従来までのイベントでは、新製品を発表してきましたが、今回のイベントではサービスのみの発表に止まりました。個人的には、サービスのみとなるのであれば「WWDC(Worldwide Developers Conference)」で良いのでは?と思ってうまうところもありますが・・・。
色々な逆風にさらされている Apple ですが、ついにクレジットカード事業に参入を果たすことになります。
その名も「 Card」。基本的には、Apple Pay を利用したサービスですが、年会費や延滞遅延金などがかからないサービスとのこと。また、従来のクレジットカードと異なりユーザーの支出を Wallet App で確認することができるだけでなく、利子の支払い金額を少しでも少なくできるような支払いスケジュールの提案などを行う機能も搭載されているとのこと。
「 Card」のリリースは、2019年夏頃に US(米国)で提供される予定。また、最大 3% の「Daily Cash」という特典も用意されます。
しかし、「 Card」極め付けのポイントは、風当たりの強いプライバシー問題に重きを置いている点にあります。「 Card」で購入した場所や購入品の履歴などの顧客データを収集するといったことは行わないことを明言しました。もちろん、提携先の Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)もマーケティングや広告などのためにユーザーデータの共有や販売を 3rd Party へ行わないことが発表されています。
※ 日本でのサービス提供予定は未定です。
「 Card」の概要
- 1.プライバシー x セキュリティー:「 Card」のカード番号は、iPhone 上で作成され、Wallet App にと登録してから数分で、店舗やアプリケーション、または世界中のオンラインストアで利用ができます。
- 「 Card」での買い物の際には、Face ID や Touch ID といったワンタイムのセキュリティーコードを認証に使用することでセキュアに利用できるようになっています。
- さらに、Apple Pay と同様にユーザーの購入した場所や製品、支払い金額などの顧客データを収集して利用するといったことはプライバシー問題を重視する Apple では行わないとのこと。
- 2.支出を分かりやすく管理:毎週、毎月の支出概要を把握しやすいように「 Card」で利用した取引相手の名前と場所を明確に分類。さらに、自動的に購入した金額を合計しつつ食べ物屋飲み物、ショッピング、エンターテイメントなどにカテゴリー別に色分けして整理してくれます。
- 3.「Daily Cash」:「 Card」を利用すると、2% の「Daily Cash」という特典が受け取れます。
- さらに、Apple Store や App Store などの Apple のサービスの利用の支払いに使用した場合は、3% の「Daily Cash」が受け取れます。
- 「Daily Cash」は、Apple Pay での買い物や「 Card」の残高への追加、メッセージでの友人や家族への送金に利用できます。
- 4.手数料なし:「 Card」には年会費、延滞遅延金、国際手数料などといったものがかかりません。
- あくまで、「 Card」の目標は、業界で最も低い金利を提供し、ユーザーが支払い忘れても違約金を請求されないことにあるとのこと。そのため、様々な支払い金額に対する金利をリアルタイムで計算してくれるオプションをリアルタイムで計算してくれます。
- さらに、ユーザーが利子の支払い金額を少しでも少なくできるように支払いのスケジュール提案などを行う機能を持ち、ユーザーが健全性のある経済的生活を送れるように設計されているとのこと。
- 5.サポート:サポートは、メッセージアプリケーションから 24時間 365日テキストを送信するだけで利用可能
- 6.Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)と MastrCard:消費者向け金融サービスに初参入することになる Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)と MasterCard と提携することで、発行銀行と世界規模の決済ネットワークのサポートが提供されます。
- 7.美しいチタン製カード:もちろん、Apple Pay が利用できない場所での買い物ができるように美しいチタン製の「 Card」も用意されます。ただし、従来のようなカード番号や CVV セキュリティーコード、有効期限、署名欄が表記などがありません。購入履歴などの情報も Wallet App で手軽にアクセスでき、アプリケーションや Web サイトでも使用できるとのこと。
- チタン製「 Card」の利用時には、1% の「Daily Cash」が受け取れます。
これまでのような、2000年に iTunes が起こしたような時代を変革するようなイノベーションは生まれないかもしれません。
そうはいっても、あの美しいチタン製の「 Card」が欲しいと思ってしまった方は、私以外にもいるはず・・・。Apple が従来までのようなイノベーティブな企業ではなくなってしまったという寂しさを感じつつも、その呪縛から逃れられないのだなと思いました。
なお、日本でのサービス提供の予定は未定となっています。これは、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)は投資銀行であるがゆえに、消費者向け金融サービスの経験がないことも多分に影響しているのかもしれません。ただ、今後は、各国に広げたいというビジョンは持っているようなので、ローンチ後の米国(USA)本国での利用状況次第ではないでしょうか?
また、各国の金融関連などの法律上の問題のハードル次第になると思います。実際、日本では未だに「Apple Pay Cash」の導入が行われていないわけですから・・・。また、今後の Apple が企業として存続していける何かを産み出し続けられるのかも注目していきたい所ですね。
関連リンク
- ・Apple Card – Apple:https://www.apple.com/apple-card/
- ・Introducing Apple Card, a new kind of credit card created by Apple – Apple:https://www.apple.com/newsroom/2019/03/introducing-apple-card-a-new-kind-of-credit-card-created-by-apple/
- ・Introducing Apple Card — Coming Summer 2019:https://www.youtube.com/watch?v=HAZiE9NtRfs
- ・Apple – 日本:https://www.apple.com/jp/
https://apple.sjv.io/c/1334027/435420/7648?u=https%3A%2F%2Fwww.apple.com%2Fjp%2F