今回は、近年の Mac のモデルから廃止が進んでいっている光学式ドライブをテーマにしたいと思います。CD/DVD などの光学式メディアは、現在も汎用的なコンテンツの配布媒体として使われています。その一方で、CD/DVD などのコンテンツの販売枚数は低下し、インターネットによる DL 販売が増加傾向にあるのは、皆様もご存知かと思います。日本の DL 市場の場合、世界と比べて成長が遅い特殊な環境ではありますが、世界的にはダウンロード市場が主流となって来ています。先日、英国の HMV が倒産したことからも CD/DVD ショップが厳しい経営環境にあるのは、お分かりになるかと思います。
その流れを加速させるように、Apple が光学式ドライブの廃止を行ったのが、2011年7月の「OS X 10.7 Lion」の発売の時でした。従来は、ディスクで販売されていた OS が Mac App Store からの DL 販売となりました。そのため、最低条件としてインターネット回線と Mac OS X 10.6.8 Snow Leopard が前提になっています。
この変更に伴って、それまでの DVD から Mac を起動し、データをストレージにコピーするという形式から OS X Lion の DL 後、アプリを起動し、システムに上書きご再起動するという方法に変更されています。このインストール方法の変化と同様にリカバリーの方法も変更されています。従来は、DVD から起動し MS OS X ユーティリティーから OS X の上書きインストールか新規インストールを選択するという仕組みでしたが、OS X Lion からは HDD 内にリカバリー用の領域である「Recovery HD」を内蔵しています。この「Recovery HD」は Mac の起動時に「Option」キーを押しながら起動すると選択できるようになっています。この「Revovery HD」が従来のインストールディスクの役割を担うようになっており、起動すると従来通り、OS の上書きインストールか新規でインストールするかなどが選択できるようになっています。
※ ただし、これはシステムや内蔵のストレージが正常に動作していることが前提になっている点はお忘れず。また、「Recovery HD」領域は BootCamp 領域がある HDD を3つ以上のパーティションで分割している場合や HDD の空き容量が 13GB 未満の場合は作成されない点も注意が必要です。
物理的な HDD や SSD の故障等の問題などによって、「Recovery HD」からの修復が行えない場合、以前ご紹介した「復元ディスクアシスタント」からのリカバリーが有効です。
※ 「復元ディスクアシスタント」の作成方法:http://pine-app1e.com/products/mac/make_recovery_disc_assistant/
また、2010年以降の Mac の場合は「Recovery HD」の領域が故障などが原因で内蔵ドライブからの修復が出来なくなっても問題ありません。その場合は、Mac 自体が起動すると自動的にアクセスポイントを見つけ、インターネットに接続してネットワーク経由で復旧用のプログラムを読み込み、外付け HDD などに再インストールできるようになっていたりします。とはいえ、2010年以降の販売されているモデルでも Mac OS X 10.7 Lion の発売以前の Mac で、この方法を行うにはファームウェアアップデートが必要です。対象機種としては、2010年夏頃に販売された Mac が対象になっているのでお持ちの場合は事前に確認しておいた方が良いと思います。一応、下記一覧にまとめてありますので、該当する方は確認を行っておいた方が良いと思います。
ファームウェアアップデートが必要な Mac 一覧
機種名 | サポート名 | 発売開始時期 |
---|---|---|
MacBook Air 11inch/13 inch | Late 2010 | 2010年10月 |
MacBook 13 inch | Mid 2010 | 2010年5月 |
MacBook Pro 13inch/15 inch/17 inch | Mid 2010 | 2010年4月 |
Early 2011 | 2011年2月 | |
iMac 21.5 inch/27 inch | Mid 2010 | 2010年7月 |
Mid 2011 | 2011年5月 | |
Mac mini | Mid 2010 | 2010年6月 |
さらに、従来光学式ドライブが搭載されていたモデルは MacBook Air や Mac mini などの一部機種だったのが、2012年のモデルより MacBook Pro Retina ディスプレイモデルや iMac にまで拡大しています。このことからも Apple が光学式ドライブ自体の廃止を意図しているこの表れともいえるでしょう。
今回は、光学式ドライブ廃止の流れををテーマにあげてみました。本格的な廃止が始まって2年経過しましたが、iMac まで廃止になっていっているように、廃止の流れがより一層、加速しているかと思います。外付けの光学式ドライブが安価に手に入るようになった現状、この流れは、変わっていかないでしょう。
次回は、光学ドライブ廃止の流れをより加速させた App や映画、音楽の DL 配信について触れたいと思います。
Regards, XELLOSS
Apple USB Super Drive
- メーカー:Apple
- 型番:MD564ZM/A
- 価格:6,800円
- システム条件;MacBook Pro Retina ディスプレイモデル
- MacBook Air
- iMac(Late, 2012)
- Mac mini(Late, 2009)以降
- 技術仕様:8倍速スロットローディング方式 SuperDrive(DVDA±R DL/DVDA±RW/CD-RW)
- DVD+R DL/DVD-R DL 記録時:最大6倍速
- DVD-R/DVD+R 記録時:最大8倍速
- DVD 再生時:最大8倍速
- CD-R 記録時:最大24倍速
- CD-RW 記録時:最大16倍速
- CD 再生時:最大24倍速
- サイズ:幅 139mm
- 奥行 139mm
- 高さ 17mm
関連リンク
- OS X 復元機能:http://www.apple.com/osx/recovery/
- OS X:復元ディスクアシスタントについて:
- ソフトウェア・アップデートを実行して OS X インターネット復元を使えるコンピュータ:http://support.apple.com/kb/HT4904?viewlocale=ja_JP
- OS X 復元ディスクアシスタン:http://support.apple.com/kb/DL1433?viewlocale=ja_JP
- 復元ディスクアシスタントの作り方:http://pine-app1e.com/products/mac/make_recovery_disc_assistant/