【トラブルシューティング】ストレージの違い

トラブルシューティング
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Hard Disc Drive

 
 先日の Keynote にて、新製品の新型 iMac と共に Fusion Drive も発表されましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 
 HDD 搭載の Mac から SSD 搭載の Mac が主流となっていく中で、Fusion Drive の発表と時代の流れを感じますが、
 
 「そもそも、HDD と SSD の違いって何なの? 」
 
というところから掘り下げていきたいと思います。
 
 第1回目は、今やレガシーなストレージとも言える HDD がテーマです。
 
 HDD とは、「Hard Disc Drive」の略です。簡単にイメージしやすく説明すると、レコードが分かりやすいかと思います。HDD の中には、レコードのような磁性体を塗布した磁気ディスクである「プラッター」と読み出しの針のような「磁気ヘッド」が一つの箱に入っているような状態のものだったりします。
 
 もちろんレコードといっても便宜上の話なだけで、きちんと大容量記憶領域のあるディスクです。
 
 HDD はアクセスされた場合、目的のデータがどこにあるのか磁気ヘッドの部分が HDD 上を探しにいきます。つまり、アナログのようにデータを探していくような状態なのです。また、モーターなどの可動機構を保持しているため機械的な処理時間のロスが発生します。そのため、書き込み時間や読み出し時間にも物理的な限界が出てきます。
 
 その代わりに、蓄積されてきた既存技術であるため、コストパフォーマンスが SSD と比べて、非常に良くなっているというメリットがあります。ですから、2TB などの大容量の HDD を比較的安価な価格で GET できているわけです。
 
 また、衝撃に弱いというのも HDD の特徴と言えます。先ほど説明した通り、高速回転している「プラッター」という磁性体ディスクの上を「磁気ヘッド」が移動してデータを読み書きを行っており、二つの隙間が 10nm 程度と非常に狭いので外部からの衝撃を受けると双方が傷ついてしまうのです。傷がついた部分は、読み出しが出来ない「不良セクター」となり、飛び散った破片が新しい傷を作っていくようになります。最悪、「磁気ヘッド」に傷がつくと起動すらまともにできなくなってしまうものになります。特に Laptop タイプの場合は、持ち歩きが多いので、こういった衝撃にも気を使う必要があります。一応、MacBook シリーズの場合は落下対策に加速度センサーが搭載されています。そのため、動作中に落としても落下加速度を検出すると HDD の「磁気ヘッド」を安全地帯の「ランプ」にという場所に退避させる仕様にはなっています。とはいっても、衝撃が大きければ HDD が損傷してしまうことには変わりありません。HDD タイプの Mac をご利用なさっている方は、そういった点にも注意しましょう。
 
 こういった HDD の特徴を理解しておくだけで普段使用する MacBook の使い方などに対しての意識が変わるのではないでしょうか?今回は、レガシーな技術となってきている HDD をテーマに取り上げてみました。
 
 次回は、MacBook Air や MacBook Pro Retina ディスプレイなどで身近になりつつある SSD について触れたいと思います。

Solid State Drive

 
 無事、何事も無く年を越え、いつのまにか 21.5 inch モデル iMac でも「Fusion Drive」が CTO 注文できるようになっております。「Fusion Drive」モデルを購入したくて諦めていた方には朗報でしょうか?すでに欲しかったが、CTO 注文できなかったから HDD モデルにで妥協したという方からは非難ゴーゴーだとは思いますが・・・。
 
 そんな HDD 搭載の Mac から SSD 搭載の Mac が主流となっていく中で、Fusion Drive の発表と時代の流れを感じますが、
 
 「そもそも、HDD と SSD の違いって何なの? 」
 
というところから掘り下げていこうというテーマ。
 
 第2回目は、MacBook AirMacBook Pro Retina ディスプレイモデルと SSD 搭載が標準化していきつつある今、SSD とはどんなものなのか触れていこうと思います。
 
 SSD とは「NANDフラッシュメモリー」と言われる、電源供給なしでデータを保存可能なストレージです。分かりやすく説明すると iPhone の中身のストレージや USB メモリーのようなものにも使用されていたりします。実は、SSD は一般的に高速といいますが、フラッシュメモリー自体のデータへのアクセス速度というのは、連続したデータの転送速度で HDD に負けるものだったりします。しかし、「NAND フラッシュメモリー」を4〜12 個搭載させ、同時にアクセスさせることで高速なデータの読み書きを行っているため、HDD 以上の高速性能を実現しているのです。また、その高速性能に対して発熱も低く省電力であるのも特徴だったりします。バッテリー駆動の Ultrabook などに積極的に搭載されていっているのは、これが理由の一つと言えると思います。
 
 HDD と SSD の速度の違いを体感するのは、iMacMacBook Pro などの HDD 搭載機と MacBook Pro Retina ディスプレイモデルの起動を比較してみると、その違いがよくわかるかと思います。また、Microsoft Office「Adobe CS」などの重いアプリなどの起動での比較も良い材料と言えます。これらの違いを体感されたい場合には、お近くの電気屋さんなどでご協力いただける店舗があれば、比較してみてください。(決して勝手にはやらないようにしてください。)
 

 
 さらに、HDD と比較して物理的にディスクを回転させて読み出すわけではないため、HDD に比べて衝撃に強いという特徴も重要です。HDD は、「プラッター」という磁性体を塗布した磁気ディスクを高速回転させ、その上を磁気ヘッドが移動して読み書きを行っています。いわば、レコードと針のようなものだったりします。そのため、動作中に衝撃を受けると「プラッター」「ヘッド」に衝撃が加わることで HDD の故障につながったりするのです。
 
 ただし、MacBook シリーズの場合、加速度センサーを搭載することで衝撃に対する対策が行われていたりします。例えば、動作中に落としてしまっても落下加速度を本体が感知すると HDD に「ヘッド」を安全地帯にあたる「ランプ」という場所に退避させる仕様になっています。とはいっても、それ以上の衝撃が加われば HDD が損傷してしまいますが・・・。
 
 ただし、SSD が HDD と異なり寿命がないというわけではありません。SSD にも寿命があり、その種類も2つにわけられます。一つは書き換え寿命であり、記録を保存する部分であるメモリセルという部分に、約1万回という書き込み回数に限界が存在します。もう一つは、もう一つは、データを記録しておける寿命というものです。これはおおよそ10年程度と言われていますが、書き換えを繰り返せば、絶縁膜が劣化するので、実際のデータ保存できる期間は短くなります。
 
 とはいえ、最近の SSD には、少しでも寿命を長くさせるための方策は取っていっています。例えば、データの書き換えの際に特定のセルへの書き込みが集中しないように制御する「ウェアレベリング(摩耗平滑化)」という技術が内部のコントローラに搭載されています。これによって、一つのセルに書き換えが集中しないように制御し、セルの摩耗をを均等に分散させるような手法がとられています。そのため、少しでも長寿命になるように設計改善はされていっています。
 
 また、データ保存期間への対処としては、エラー補正機能というものが搭載されています。事前に、フラッシュメモリー内にエラー補正用のメモリーエリアを準備しおくことで、エラー補正データを記録するようになっています。このようにすることで、一部のメモリーセルの破損や寿命などで機能に支障が出てもある程度まではデータを守ってくれるようにはなっています。
 
 ※ 結論から言うと、HDD であろうが SSD であろうが、共にバックアップが重要であることは代わらないということです。SSD の寿命が短そうだからという判断だけで HDD を選ぶのは建設的ではないと言えます。
 

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 さらに、SSD は高速というイメージがついており、HDD は絶対に勝てないといったイメージが付いていますが、必ずしも SSD の方が速いというわけでも無い点も押さえておきたい所です。なぜかというと、「フラッシュメモリー」には「書き換え」という作業が原理的に行えないのです。実際には、「書き換え」を実行する部分のデータを読み出し後コピー、読み込んだデータを消去、その後、変更したデータをフラッシュメモリーに再度書き込むという手順を取っています。実際には、速度が落ちないように消去済みの部分を事前に用意することで、データの書き換えを短くするような仕組みは取っています、とはいえ、空き容量が少なくなって来たり、データの断片化が進むと、この消去プロセスが発生するため、速度が落ちます。
 
 また、SSD の空き容量が減ってくると書き込みが一瞬止まってしまう「プチフリ」現象もディスクの断片化が原因と言えます。しかし、この断片化は通常のデフラグでは解消できないものです。むしろ、SSD の場合はデフラグを行うと、大量のファイルの書き換え作業を行うので、SSD の寿命を縮めるだけです。その上、デフラグを行った所でファイルを再配置するだけなので、データを消去しているわけではなく、実際にはストレージ上に残っています。実際にデータの削除が行われるのは、新しいファイルを保存するときになるので、結局は速度が落ちてしまうのです。ただし、OS X 10.7 Lion 以降では、あらかじめ未使用領域の自動消去を行っていく「TRIM」という機能を搭載しているため、「プチフリ」が発生しにくくなっています。とはいえ、起動ディスク自体は仮想メモリを使用するので、1割から2割は常に空けておいた方が懸命といえます。
 

Trim Enabler

 
 また、標準で SSD を搭載されていない Mac の HDD を SSD に交換して使用している場合は、「TRIM」に対応していません。しかし、下記の「Time Enabler」を使用すれば、標準搭載じゃない MacSSD にも「TRIM」を有効にできます。ぜひ、インストールして「ON」に切り替えて起動しておきましょう。
 
 結論から言いますと、SSD の高速性能は魅力です。ただ、HDD と比べると映像などの大容量コンテンツを保存するといったことにはコストパフォーマンス的に不利です。ただ、SSD も今後さらなる大容量化と低価格化が進むとは思われます。とはいえ、その性能の向上が鈍くなって来ているので、HDD とのストレージ容量におけるコストパフォーマンス差が縮むのは難しいのではないでしょうか?現状、動画などの重いデータは外付けの HDD で自宅に保存し、外出時は SSD 搭載の MacBook を使うというように使い分ける生活が一番コストパフォーマンスに優れた生活と言えると思います。
 
 なお、128GB の MacBook Air は iTunes の容量が iOS デバイスの限界値 64GB(57.4GB)限界まで使うと OS、その他 App も入れて合計 90GB 程度になる事も多いので、WIndows でまともに BootCamp のパーテーションが切れない状況になります。64GB の MacBook Air に至っては言わずもがなですが・・・。
 
 つまり、購入後に増設が基本的にできない、もしくは自身で行うとサポート対象外になるため、購入前に少しでも BootCamp に興味が有る方は 256GB以上のモデル、ゲーミングを検討される方は GPU の搭載されている MacBook Pro の 15 inch 以上のモデルを強くおすすめします。
 
 また、既にお持ちの Mac を SSD に換装する際には注意が必要です。SSD は各社から発売されていますが、SSD 内部のコントローラーチップやファームウェアのアルゴリズムなどで性能が異なるので、購入前に下調べをしておきましょう。
 
 次回は、先日発表された「Fusion Drive」を取り上げたいと思います。
 

Trim Enabler

 

Trim Enabler

 

Fusion Drive

 
 2回に渡って、HDD、SSD のストレージの違いについて触れてきました。今回から数回に渡って、先日 Apple から大々的に発表された「Fusion Drive」について見ていこうと思います。
 
 これまで HDD と SSD のそれぞれのメリットとデメリットについて2回に分けて触れてみました。前々回でも触れた通り、HDD は大容量のストレージを低コストで導入できるというメリットがありますが、円盤状に記録されたデータを磁気ヘッドで読み込むため、データ転送速度の限界と衝撃に対する弱さなどのデメリットがあることをお伝えしました。一方、前回解説した SSD は USB メモリなどと同じフラッシュストレージタイプになるので HDD よりも読み出し/書き込み性能に4倍以上の差が出てきます。ただし、まだまだ大容量のものになると大幅なコストアップに繋がるという弱点があります(iMacCTO で 768 GB のフラッシュストレージに変更した場合、12万円近くのコストアップになります)。
 

iMac CTO 注文画面

 
 そんな中出てきた「Fusion Drive」は、速度は出なくとも大容量な HDD と容量が少ない分高速な SSD を一つのドライブとして扱い、互いの弱点を補うような構造を作り出したものなのです。ただ、この「Fusion Drive」という技術はあくまで SSD への橋渡しを担う技術という位置にあり、Apple の基幹技術のなるものではないということを頭の片隅にいれておくと良いと思います。
 

HFS+①

 
 今回は、iMac(Late, 2012)から登場した HDD と SSD のメリットとデメリットを互いに補完し合うようなシステムである「Fusion Drive」のメカニズムについて見てみようと思います。まず、上図のように HDD での読み出しや書き込み自体の動作はディスクの回転速度は一定であるため、一番外側に記録されたデータと一番内側に記録されたデータの読み込む速度に差が出てきます。特に Apple の採用するフォーマット形式「HFS+(Mac 拡張ジャーナリング)」では、その特性をうまく利用した技術になっていたりします。この「HFS+(Mac 拡張ジャーナリング)」では下図のように 10 MB 以下の頻繁にアクセスされるファイルを OS X のシステム側が自動的に外周へ移動してくれることで、読み出し性能を向上させてくれていたりするのです。
 

HFS+②

 
 ※ また、「HFS+(Mac 拡張ジャーナリング)」にはもう一つの特徴があります。1つのファイルがディスクの中にバラバラに記録された場合、自動的に連続したファイルとして再配置してくれるようになっています。いわゆるデフラグという機能が備わっているのです。
 
 そんな HDD の外周のさらに外側の位置に SSD を置くようにシステム化したものが、下図のように再現した「Fusion Drive」なのです。この場合、OS X が SSD に優先的にデータを書き込み、一杯になっていくと HDD にデータを書き込むようになっています。では、どのようにして 2つのボリュームを1つのボリュームとして認識させているかというと、OS X 自体に組み込まれている「Core Storage(コアストレージ)」というフレームワークが、その役目を果たしています。実は、このフレームワーク自体は Mac OS X 10.7 Lion 時代からあったものであり、マニュアルには存在しない「論理ボリュームの作成」コマンドを使用して作っているものなのです。
 

Fusion Drive

 
 ただし、通常の HDD タイプと異なり「Fusion Drive」の場合は 10MB 以下のファイルの制限が無くなっています。つまり、ファイルの読み書きには SSD の特性をより活かした「Core Strage(コアストレージ)」用の新しいファイル配置プログラムが動作してくれるのです。これによって、大きなファイルサイズのものでも利用頻度が高いものを SSD 側に保存するようにしてくれているのです。
 
 今回は、「Fusion Drive」のメカニズムについて触れてみました。次回は「Fusion Drive」のメリットについて触れていこうと思います。
 

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